世界には200種類の国旗があると言われていますが、「紫色」の国旗が見当たりません。それは紫色に染めるもの(顔料・染料)がとても貴重だったからです。現在では不思議なことかもしれませんが、きれいな紫色を大量生産できるようになったのは100年程前の最近と言えば最近のことです。赤と青を混ぜれば良いことかもしれませんが、「混色」ということが宗教によっては「神が創って下さった世界を人間がさらに手を加えて、新しいものを創るなど、とんでもないこと。」という考えもありました。また、宗教が異なったとしても、減法混色ですので暗い紫色になってしまいます。それと国旗のような大量生産しなくてはいけないものにしては、毎回、同じ紫色をつくるのは困難です。紫の合成染料を発見したのは1856年、イギリスのウィリアム・ヘンリー・パーキンという人物が、マラリアの特効薬であるキニーネから偶然にモーブ色(青みよりの鮮やかな紫色)を発見しました。紫色に染めることが比較的簡単になったのは、この1856年以降と考えられます。ですので、1856年以前に建国した国の国旗には紫色を使用するのは困難であった為、紫色の国旗は見当たらないのです。しかし、1856年以降に建国した国もあります。例えば、1978年イギリスから独立したカリブ海にある「ドミニカ国」の国旗(タイトル画像)には紫色が使われています。