1853〜1932年 ドイツの化学者であるフリードリヒ・ヴィルヘルム・オストワルトは1909年にノーベル化学賞を受賞している人物です。色彩文化でのオストワルトといえば、1920年頃に発表した「オストワルト表色系」である。オストワルト表色系の特徴といえば「混色系」であること。表色系には通常「顕色系」と「混色系」の2種類があり、顕色系というのはカラーオーダーシステムとも呼ばれ、簡単に説明すると、カラーカードのように色が混ざり終わって、その色になった状態でカードになっていることです。「混色系」というのは色を混ぜないで、混ぜる前のそれぞれの色の種類や量を記号や数字に示した状態のものといえます。オストワルト表色系は「混色系」です。円グラフ上の割合を示すように白・黒・純色の3種類のみを100%になるようにして、回転混色で表しています。例えば白が80%で、黒が20%で、純色が0%の場合は明るい無彩色である灰色になり、白が10%で、黒も10%で、純色(赤)が80%であれば、鮮やかな赤色となります。この回転混色によって色を表色系にしたところがいかにも化学者らしいと思います。その後1950年代に改良されてDIN(ドイツの工業規格)となり、1970年代にはNCS(スウェーデンの工業規格)となりました。ちなみに工業規格になったときは「顕色系」となっています。