ものすごく分かりやすい本で、文庫本サイズということもありますので、「色材の辞書」のような1冊です。「色材」ですので顔料や染料の歴史について書かれています。「色材の歴史?」と思う方もいると思いますが、現在では街を歩けばカラフルに彩られている(いろどられている)景色であっても不自然ではありませんし、カラフルなファッションアイテムを身につけている方を見ても同じく不自然に感じることはありません。もちろん、ファッションとしての組み合わせ方で眼を引くような配色はあると思いますが、「この色見たこと無い!何系の色なの!?」なんてことはありませんよね。

もともと、自然界にある色材は古くから発見されて色材として使用されています。例えば土、泥、植物などです。自然界ではないということ、つまり「人工」ということです。中世の錬金術師が発見した色材、近世の化学者が発見した色材もありますよね。

例えば「真っ赤な色をしたプラスチックの商品」は、赤い色を感じるのみでなく、表面に光の反射を含めた「光沢感」がありますよね。①真っ赤な色を使用できる現代②プラスチックという素材を使用できる現代。どちらも存在していなかった時代の人がその商品を見たらビックリすると思います。

その「色材の文化史」ですので、ロマン溢れる1冊です。

創元社 フランソワ・ドラマール&ベルナール・ギノー著 柏木博監修 ヘレンハルメ美穂訳 定価本体 1600円